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紙ほど長く人間と人間の文化に関わり続けてきたものはありません。
意志を伝えるために、また時代を記録し、残すために使い続けられてきました。
紙はもっとベーシックなコミュニケーションツールといえます。
映像がメディアの中心になったといっても紙の存在が薄らぐことはありません。
むしろ、ヒューマンなかおりを持つものとして、ますますその重要性が高まっていくことでしょう。
絵にしろ、文字にしろそれを初めて書き付けた人の心は一体、どんな思いに満ちていたのでしょうか。
絵や文章がうまい、という他人の評価を期待したものでないことだけは確かです。多分、心の奥底から突き上げてくような熱い情熱、何かを伝えたい、残したい、という思いがあったのでしょう。れは時代が変っても同じこと。
人間は月に定住しても、火星に行っても心のたけを書き付けることは忘れないでしょう。
紙、という漢字は形成文字といわれるもので、「意味」を表わす「糸」という字と「音」を表わす「氏」という字を組み合わせた構造になっています。「糸」とは「繊維」を意味します。つまり、原料が木などの繊維であることを示しています。そして「氏」はその繊維を叩きのばすときの音を示しています。このことから、紙は原料の繊維を叩きのばして作られるものということが理解されます。
「種の起源」と考えられるものは中国で発見されています。もっとも古いもので約2000年前。パピルスに比べると約半分の歴史ですが、その製法は、麻などの繊維を煮たり、叩いたりしてほぐし、これを水に溶かして、すくというもの。まさに紙の定義にぴったりのものです。紙とは、このように「水」を媒介として作られるものなのです。
英語ペーパーの語源ともなっているパピルスは絵や文字を書き付けるものとしてはもっとも古く、約5000年も前のものが発見されています。ところが、このパピルスは「紙の起源」とは考えられていません。紙は「原料となる繊維を叩くなどしてほぐし、それを水に溶かし、すいて乾かしたもの」と定義されています。パピルスは、その茎を薄くはぎ、水のなかで柔らかくして格子状に並べたものを乾燥させたもの。この製法の違いによって紙とは扱われないのです。
紙の発展は活字印刷の発明によって大きく促進されることになります。グーテンベルグによって活印刷が発明されたのが1450年頃とされていますが、その約50年後にはヨーロッパ各地に200以上もの印刷工場が作られたといわれます。紙の需要が急速に高まっていったわけです。こうした状況に対応するために、フランスのエローという製紙工場で働いていたルイ・ロベールという紙すき工が紙すき機械を発明しました。まさに必要は発明の母、といったところです。これが1799年のこと。しかし、当時のフランスは革命のただなかにあり、彼はイギリスへ逃れて、これを完成させます。
紙すき機械の発明とともに紙の発展を急速に進めたのがバルブの発明です。19世紀になると産業革命以降の急速な経済発展によって、紙の需要も加速度的に高まっていきます。ところが、当時の紙の原料は麻などの繊維が中心であり、季節によって供給量が不安定であり、数量にも限りがあるところから需要に応えきれないのが実情でした。さまざまな工夫がなされ、やっ1840年になって木材を砕いて、その繊維を利用する方法が発明されました。これがバルブです。この発明により一年を通じて安定的に、かつ大量の原料を供給できるようになったわけです。
紙は印刷との深い関係のなかで私たちの生活に深く溶け込んできました。紙の消費量が文化のバロメーターといわれるほどになっています。印刷というメディアがあるかぎり、紙は私たちに欠くことのできない存在でありつづけることでしょう。しかし、今や紙と私たちとの関わりは印刷においてばかりではありません。ファッション、食器、インテリア・・・・・・など実にさまざまなところで活用されています。こうした活用の幅の広さを反映して、紙の種類も驚ろくほど多彩です。ファブリックとほとんど見分けのつかないもの、金属のような光沢と質感を持ったもの、セロファンのように光を通すものなどなど、そのバリエーションは豊富です。紙は今、新しい時代の新しい生活に貢献すべく多彩な広がりを持ちはじめています。
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